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岐阜発!温泉博物館第19話 濁河温泉の巨大石灰華ドーム

温泉成分が析出して出来た物を総称して温泉華と呼びます。さらに、温泉華はそれを構成する成分により、硫黄華、石灰華、珪華、鉄華、硫酸塩華などにわけられます。
温泉成分の内、主に炭酸カルシウムが析出して沈殿したものを石灰華と呼びます。カルシウム分を多く含む温泉では、石灰華が生成されやすく、配管の中に炭酸カルシウムのスケール(石灰華)が発生したり、浴槽の周りにミニチュアの棚田状のスケールを付着させたりします。
このような石灰華は、配管や浴槽のへりだけでなく、時には野外に大きな自然の造形を形成します。
カルシウムを多く含んだ温泉が天然に自然湧出するような場所では、湧出地に炭酸カルシウムで出来た噴泉塔と呼ばれる搭状に高まりのある石灰華を形成したり、湧出地付近の斜面に石灰華ドームと呼ばれるドーム状の石灰華を形成することがあります。このような自然の温泉現象による生成物は大変珍しく、学術上も貴重であることから、多くが国の特別天然記念物や天然記念物に指定されています。岩手県夏油温泉の石灰華ドーム(国指定特別天然記念物)、石川県岩間温泉の噴泉塔(国指定特別天然記念物)、長野県湯俣温泉の噴湯丘(国指定天然記念物)などがそうです。

国指定特別天然記念物の石灰華ドーム 国指定天然記念物の噴湯

ところがです、実は岐阜県にもあまりよく知られてはいませんが、天然に湧出する温泉によって生成された大規模な石灰華ドームが存在しているのです。
下呂市小坂町の濁河温泉の温泉街にさしかかる手前に、数年前まで県立の自然の家がありました。その付近から兵衛谷の谷底へ下ると、兵衛谷にある材木滝という大きな滝のところへ出ます。その道沿いの兵衛谷にさしかかる左側の緩斜面に、大規模な石灰華ドーム(写真)が存在しています。
石灰華ドームの大きさは、末端部で幅約30m、ドームの頂から末端までの長さはおよそ20mあります。天然の温泉華ドームとしては国内でも有数の大きさです。ドームの表面部には、棚田状構造(リムストーン)が形成されています。石灰華といっても表層部トゥーファと呼ばれるタイプのやわらかい褐色の石灰華からなっています。
石灰華ドームの頂部付近には、写真のような自然湧出泉源があり、ここから流れ出た温泉水が、成分を沈殿し続け、大規模な石灰華ドームを形成しました。

濁河温泉の大規模な石灰華ドーム 石灰華ドームを形成した自然湧出する温泉

現在、石灰華ドームの表面には、緑色のコケ類が繁茂し、一面を覆っているため、よく見ないと温泉沈殿物の堆積体であることに気づきにくい状況になっています。また、堆積物がやわらかいため、この上を歩けば破損されてしまうため、保護の対策が急がれます。

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