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岐阜発!温泉博物館第5話 温泉の特徴的な湧き出し方

 温泉が地表に自然に湧き出すときの湧き出し方にも様々な形態があります。岩の割れ目のような所から湧き出すとき、湯の量が少なければ流れ出るような湧き出し方になりますし、大量に湧き出す場合は、湧き出し口に湯がたまり、小さな池状になることがあります。また、高温で湯が沸騰している場合や、温泉に含まれていた大量の二酸化炭素が抜け出しながらボコボコと泡をたてて湧き出すこともあり、泡沸泉と呼ばれます。
温泉が自然湧出する際に、熱湯と水蒸気が一緒になって噴水のように勢いよく噴出しているような温泉現象を噴泉と言います。地下に高温の水蒸気を含む熱湯が存在し、温泉の湧き出し口の穴(孔隙)が小さいと、地下の熱湯の存在する空間の圧力が高くなるため、小さな孔隙からゴーという激しい音を出したりしぶきを飛ばしたりしながら勢いよく温泉を噴出します。長野県渋温泉にある地獄谷噴泉は、大きな音をたてながら勢いよく熱湯や水蒸気を噴き上げ続けています。昭和2年に国の天然記念物に指定されています。秋田県小安峡には“大噴湯”と呼ばれる噴泉があります。崖の至る所から高温の蒸気や熱湯が激しい音とともに水平方向に噴出しています。

長野県渋地獄谷温泉の噴泉 秋田県小安峡の「大噴湯」

 噴泉のうち、ある一定の間隔をおいて噴出する温泉を間欠泉と言います。間欠泉の周期性をもった噴出現象が起こるしくみは、空洞説や垂直管説などによって説明されています。
空洞説による間欠泉の説明は次のようです。
間欠泉の地下には地下水がたまる空洞があり、周辺(又は地下深く)からの熱によって空洞内の地下水が温められます。地下水の温度が上昇するとやがて沸騰し、地上の噴気孔より熱水や水蒸気が激しく噴出します。噴出後は空洞内の地下水がなくなり圧力が低下します。しばらくしてまた地下水がたまり、温められて噴出します。このようなサイクルを繰り返すために一定の周期による噴出現象が見られるわけです。間欠泉が熱水や水蒸気などを噴出する周期は、空洞の大きさや地下水のたまる速さ、温められる熱の量などによって、それぞれの間欠泉によって異なります。
垂直管説は、間欠泉の地下は地下水のたまる垂直な管状になっていて、下の方の地下水が温められ沸騰すると管の中を上昇して地上の噴出孔から熱水や水蒸気などを噴き上げるというものです。噴出後には再び管の下の方に地下水がたまり、一定周期で噴出を繰り返します。噴出する周期が長く大規模な間欠泉は空洞説によって、周期が短く小規模な間欠泉は垂直管説によって説明できることが多いと言われています。宮城県吹上温泉の間欠泉「弁天」は、15分毎に100℃を越える熱湯を15m以上の高さまで勢いよく噴出します。その他、栃木県川俣温泉の間欠泉や大分県別府鉄輪温泉の竜巻地獄、宮城県の地獄沢間欠泉群などがよく知られています。宮城県鬼首の雌釜及び雄釜間欠泉は昭和27年に国の特別天然記念物に指定されましたが、筆者の調査により、現在は完全に消失していることが明らかになりました。

宮城県吹上温泉間欠泉「弁天」

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