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岐阜発!温泉博物館第4話 温泉が自然に湧き出す自然湧出泉源

温泉が自然に地上に湧き出しているような泉源を自然湧出泉源と言います。現在では地下深くまで掘削して源泉を得ている温泉が多く、温泉が自然に湧き出す様子を見ることができる場所は限られています。
現在でも温泉が自然に湧き出す様子が目の当たりにできる限られた場所として、

  1. 火山地帯の一角にある“地獄谷”又は“地獄”と呼ばれるような場所
  2. 温泉街のシンボルとして大切に守られているような大規模な泉源
  3. 古くから温泉旅館などの浴槽の底からじか直に湧き出している泉源

などが挙げられます。

(1)“地獄”地形に湧き出す自然湧出泉源

秋田県の玉川温泉の“地獄”地形の一角には、毎分9000リットル(ドラム缶に換算すると45本分に相当)という日本最大の湧出量を誇る「大噴」泉源があります。特に最近の研究では、毎分1万リットルを超えるというデータも報告されています。大きな湧出孔から98℃の温泉がボコボコと湧き出す様子に圧倒されてしまいます。玉川温泉の“地獄”一帯には自然探究路が整備されており、散策を楽しみながら様々な形態の温泉湧出現象を観察することができます。
その他にも火山地帯の“地獄”と呼ばれるような場所で見られる自然湧出泉源は、北海道の登別温泉、秋田県の後生掛温泉や泥湯温泉、宮城県の片山地獄、富山県の立山地獄谷、長崎県の雲仙温泉などで見られます。

秋田県玉川温泉の大噴泉源 秋田県後生掛温泉の泉源

 前にも述べましたが、温泉と火山とは密接な関わりがあり、特に火山性の温泉の場合、両者を切り離して論じることはできません。火山活動が比較的活発な場所では、火山の頂上に限らず至る所で火山ガスや水蒸気などの白い煙を上げている噴気地帯が見られることがあります。この一帯は、地熱や、様々な成分を含んだ熱水(温泉水)の影響で岩石が温泉余土と呼ばれる粘土鉱物などに変質し、白っぽい岩肌をさらけ出した殺伐とした景観をつくりあげています。このような場所を熱水変質帯と呼びます。
熱水変質帯では、至る所から高温の温泉が大量に湧出していることがあります。殺伐とした状況の中でボコボコと高温の温泉が自然湧出している様子から、昔の人々は、あの世の地獄の風景のイメージを連想したようで、日本の各地でこうした温泉現象を伴う地形に対して「地獄」という呼び名が付けられています。“地獄”から湧出した大量の温泉はやがて風化してもろくなった岩肌を刻んで流下するため、谷を形成します。こうして熱水変質帯にできた温泉現象を伴う谷型の地形の多くが「地獄谷」と呼ばれています。かつての「地獄」や「地獄谷」という呼び名は、信仰の中の対象物に対するものだったと考えられますが、現在では温泉現象を伴う熱水変質帯の地形を表す言葉として使用されるようになっています。岐阜県では白川村大白川の地獄谷という谷の一部に噴気を伴う熱水変質帯が見られます。
主な“地獄谷”地形として以下のような所が知られています。
硫黄山(北海道)、登別温泉(北海道)、恐山(青森県)、川原毛地獄(秋田県)、泥湯温泉(秋田県)、後生掛温泉(秋田県)、玉川温泉(秋田県)、ふけの湯温泉(秋田県)、片山地獄(宮城県)、塩原温泉新湯(栃木県)、草津温泉(群馬県)、万座温泉(群馬県)、大涌谷温泉(神奈川県)、立山地獄谷(富山県)、雲仙温泉(長崎県)、小松地獄(大分県)など。
いずれも地獄谷に大規模な源泉をもつ湯量豊富な温泉地となっています。中でも、後生掛温泉や玉川温泉の地獄谷(噴気地帯)は自然研究路として整備されていて、地獄谷の多様な自然を観察することができます。
“地獄谷”は、地熱や硫化水素などを含む火山ガスなどの影響で植物が非常に生育しにくい環境となっています。このような場所では、ガンコウランやシラタマノキなどの硫気孔植物と呼ばれる、温泉地帯の環境にも耐えられる一部の植物が生育しています。

大白川地獄谷の噴気地帯 北海道登別温泉の地獄谷
秋田県川原毛地獄の熱水変質帯 富山県立山地獄谷

(2)温泉街のシンボルとしての自然湧出泉源

一方、温泉街の中で温泉のシンボルとして大切に守られている泉源があります。泉源を中心に温泉街が発展している所もあり、自然湧出泉源が温泉地の生活と深く結びついています。
温泉地に存在するシンボル的な自然湧出泉源には、群馬県草津温泉の「湯畑」、長野県野沢温泉の「麻釜」、兵庫県湯村温泉の「荒湯」、和歌山県湯の峰温泉「筒湯」などがあります。岐阜県の白孤温泉には温泉が自然湧出する泉源池が存在し、そこから旅館へ源泉が引かれています。

白孤温泉の泉源池 群馬県草津温泉の「湯畑」泉源
 
兵庫県湯村温泉の「荒湯」泉源  

(3) 浴槽の底から直に湧出している泉源

入浴するのに適温で湧出している泉源では、その上に浴槽をこしらえて、浴槽の底から直に温泉が湧き出すようなしくみになっている所もあります。湧き出したばかりの最も新鮮な源泉に入浴できるという利点があります。
北海道のニセコ薬師温泉、青森県の蔦温泉や谷地温泉、岩手県の鉛温泉、秋田県の乳頭温泉郷鶴の湯、福島県の木賊温泉、群馬県の法師温泉、山梨県の増富ラジウム温泉や下部温泉、長野県の奥蓼科温泉渋御殿湯、和歌山県湯の峰温泉つぼ湯、岡山県の真賀温泉、島根県千原温泉、大分県川底温泉などで浴槽の底から直に湧き出す源泉入浴を楽しめます。

長野県奥蓼科温泉渋御殿湯の源泉直湧き浴槽 島根県千原温泉の源泉直湧き浴槽

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